R-18文学賞と山本周五郎賞

ふがいない僕は空を見た」を読み始めました。
R-18文学賞山本周五郎賞を受賞しています。
短編集ですが話は繋がっています。

2つ目の「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」に感情が取り込まれ過ぎて、心臓が絞られる感覚がしました。

主人公の里美さん(20代後半)は恐らくなんらかの発達障害を持っており、自分自身でもその自覚はありますが、診断されている描写もなければ、病名を認識している様子がありません。
両親も早くに他界しており、天涯孤独で、上司に罵倒されながら働いていました。
めでたく、慶一郎に一目惚れされて結婚しますが、長年子供ができませんでした。
そこで彼の母親から不妊治療を強要されます。
嫌とは言えず、慶一郎も母親には弱い。
慶一郎自身、製薬会社のMRとして働いており、理不尽な激務が描写されていて、気持ちに余裕もない。

里美が独白する形式で話が進み、至るところで仕方の無い理不尽さを受け入れる様子が私の心臓を刺してきます。

私は、小説を読んだあとに抱く感情として3つに大別されます。
①そういうことあるよね!(共感)
②そういう考え方があるのか!(発見)
③それは違うのでは?(疑問·批判)

今回はどれでもありません。
恐らく避けてきた類いの作品だと思います。
万引き家族やnobodyknowsがそれに当たります。
見たいけど、見るのが怖いんです。
見てしまったら、登場人物達の人間性、彼らを取り巻く理不尽さを背負わなくてはならないような気がします。
きっと3日もすれば忘れますが、ふとしたときにそのシーンや描写なりを思い出して、背負い直すことになります。

ダブル受賞をしてDVDにもなっているので素晴らしい作品です。
最後まで必ず読みますが、それと同時に訪れるであろう読後感に恐れています。



今回は良い文章書けた!