友達は質よりも量!-ナイルパーチの女子会-

「距離を測ったり、手入れしながら、辛抱強く続けていくしかねえんだよ。たかが関係一つ手に入れただけで腹一杯になれるもんか」

 
人間関係の構築に苦悩する主人公(栄利子)に向けて、同僚の真織が放ったセリフ。

彼女は嫌な立ち回りをする人物ですが、 おそらく真織自身も過去に悩んでいたに違いありません。
悩みに悩み抜いて彼女なりに出した答えです。
このセリフだけで真織が過去に経験した交友関係が見える気がします。
きっと距離を測り損ねたことがあるのでしょう。仲が良いと思っていた友達は、実は一方通行だった。
手入れを怠ったのでしょう。怠った結果、その関係は形式上に終わってしまったと気づいた。
辛抱強くと言っている所からして、彼女にとって友達関係を構築していくことは食糧を確保していくようなもの。関係一つ手に入れただけで腹一杯になれるもんかというセリフがそれをよく表しています。
めっちゃ仲の良い友達を作って、狭く深い付き合いだけでは満足できないと感じています。
過去に裏切られたのでしょうか。
私はそう思いません。
きっと、充分過ぎるほどに孤独を味わったからだと思います。
イジメだか転校だか病気だか分かりませんが、強烈な孤独がトラウマとなり、それを覆い隠すために、質よりも量を選んだ。

 
彼女のその先のことについて描写はありませんが、質よりも量を選んだ結果、友人関係は徐々に崩れ始めると思います。それか既に崩れていると思います(それを匂わせる描写がありました)。
人間は1日24時間だけです。お金も限られています。
その制約の中で、友達関係の手入れをしなければなりません。雑草が生えれば抜いて、錆びついたら油をさして。

このセリフ1つだけでここまで楽しめます。